MLBシアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチローさんが4月15日、マウンドに上がった。T-モバイルパークでのヒューストン・アストロズとの本拠地開幕戦で始球式を行ったもので、快速球を披露し、TOPPS社のオンデマンドカード「Topps Now」は3年ぶりにイチローさんの雄姿をカードにした。
ジャッキー・ロビンソン・デーのこの日、球史に名を残した黒人初のメジャーリーガーのように、日本人選手として活躍したイチローさんがシアトルを沸かせた。監督、コーチ、すべての選手がロビンソンの背番号42を着けて臨んだこの日だったが、イチローさんは特別。51番のユニホームで現役時代と変わらないスリムな体型でマウンドに上がると大歓声と拍手が送られた。
始球式の1球で、その歓声と拍手ががさらに高まった。ネット上では球速「93.6マイル(約151キロ)」が出たとする米リポーターのツイートもあったが、48歳とは思えない衝撃の1球にSNSなどでは「始球式史上最速」と話題になった。
昨年12月に高校女子硬式野球選抜との親善試合で完封して以来、肩の具合が思わしくなかったというが、春季キャンプでリハビリをして間に合わせた、という。「状態としては100%に近い。女子野球の後からよくここまできましたね。ずっと勝ってくれるなら、僕は毎日投げますよ」と話した。試合はマリナーズが昨季のア・リーグ覇者のアストロズに11‐1で大勝した。
衝撃さえ残るこの始球式に「Topps Now」も即座に反応した。ダイナミックな投球フォームをカード化。「Topps Now」でのカード化は、サインカードを除く通常版では、2019年9月14日に本拠地で球団特別功労賞を贈られたセレモニー以来、3年ぶりとなった。
イチローさんと言えば、フロリダ・マーリンズ時代の2015年10月4日、大差のついた対フィラデルフィア・フィリーズ戦でメジャー初登板。1回2安打1失点の投手記録を残した。この模様はTOPPS社が翌年、カードにした。MLBが公式SNSで実施した「歴代最高の野手登板」を決める投票では、この登板が2位のウェイド・ボックス内野手(当時ニューヨーク・ヤンキース)に圧倒的な差をつけて1位に輝いた。
愛工大名電高時代には、エースとしてセンバツ甲子園での登板経験もあるイチローさんは、NPBオリックス時代の96年にはオールスター第2戦でパ・リーグの指揮を執る仰木彬監督がリリーフに起用。セ・リーグの野村克也監督が打席の松井秀喜外野手(巨人)に自軍の高津臣吾投手(ヤクルトスワローズ)を送り論議を呼んだ。イチローさんは高津を遊ゴロに抑えた。こちらは、BBMが「オールスターカード」でカードにしたほか、エポック社が「2020 #51 ICHIRO SUZUKI ORIX BlueWave SLBC Collection」でもカード化して人気を集めた。
イチローさんのトレカは上記の2度のほかには投手としてのものはなく、今回が3度目となる。それでも、守備でも日米のスタンドを沸かせたイチローさんだけに、キャッチボールや送球シーンのトレカは多い。
日本でも人気の始球式カードだが、イチローさんの始球式カードはスペシャルな1枚となりそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。