POKEMONカードの人気がものすごいことになっています。キャラクターカードへの注目も上がっています。今回は、国内はもちろん、海外でもオークションをはじめ、脚光を浴び始めているカードをご紹介します。
それが「ドラゴンボール(DB)」のカードです。
DBカードには、PANINI社やアマダ(エンスカイ)が制作した海外版のカードもありますが、日本で最も知られているのが、バンダイ社が制作した「カードダス」です。専用の自動販売機で販売されたバンダイのカード商品の総称で、1回20円でガチャガチャして、カードを出します。キャラクターカードとしてコレクションもでき、ゲームカードとして遊ぶこともできました。「カードダス」で遊ぶための、漫画に出てくる「スカウター」型の玩具も出ました。1988年に人気漫画、アニメの「星闘士星矢」、「SDガンダム」が発売され、同じ年に「DB」の「カードダス」が登場しました。
翌89年に発売された「DBカードダス」第2弾から、「DB」を連載していた週刊少年ジャンプ(集英社)がカードダス情報を掲載。オリジナルカードを付録につけたり、誌上プレゼントしたことで人気に拍車がかかりました。この年の秋にはテレビで「DBZ」のアニメが放送を開始し、「DBカードダス」第3弾として「Z編」が発売されました。
91年には「DBカードダス」は発行枚数で累計14億枚を突破したそうです。この年にはカードダス新シリーズの「スーパーバトル」も登場し、その人気を不動のものにしました。その後、「幽☆遊☆白書」、「スラムダンク」の「少年ジャンプ」の連載も「カードダス」になり、先輩の「DB」の人気もさらにアップしたのです。
原作に超サイヤ人3が登場した94年には「DBカードダス」でもこの新しいキャラのキラカードを求めて人気が過熱気味になりました。この年からは大きな会場でのイベント「カードダス究極博」も開催され、本弾の全種再販、オリジナルグッズの販売、プレゼント大会などが行われました。95年には原作の連載は終了しましたが、TVアニメは続いたこともあり「DBカードダス」はスーパーバトル特別弾でとりあえず一度完結します。
それでも、カードゲーム版(2003年)、「データカードダス」(2005年)「ミラクルバトルカードダス」(2009年)と形を変えながらDBカードコンテンツは引き継がれます。そして2016年3月に通販限定で本弾31弾としてカードダス復活、第38弾まで作られています。30周年の2018年には、カードダスの自動販売機のミニチュア版も販売されました。直近では今年3月に、29弾、30弾と特別弾が入り、バインダーもついた「プレミアムセット」復刻版が発売されました。
そして、2010年にスタートし、現在進行形で人気を集めているのが、「DBヒーローズ」になります。これは「データカードダス」初の派生シリーズで筐体型ゲームのカードです。
「DBヒーローズ」とともに、駄菓子屋さんで1996年ごろに売っていたアマダ社「PPカード」も熱いです。1986年から発売されたプロマイドに近い存在で、当たりが出たらもらえる、特別なカードがあり、これも値上がりしています。
海外は海外で別の文化があるので「カードダス」よりもカードゲームのほうが人気が高いようです。カードゲームはひとりでできないので、相手が必要になり、コミュニティがどんどん広がっていく傾向にあります。
以前から、まずまずの市場価格をつけてた「DB」のレアカードですが、ここにきて、大きく跳ねようとしているのは、かつて、「DB」カードを収集していた子供たちが大きくなって、ある程度のお金を収集に使えるようになったことが考えられます。新型コロナのステイホームで、家を片付けていて、当時のカードが出てきて、ここで、それを売ってしまう人と再び、集めようとする人に分かれ、需要と供給が同時に高まるのでしょう。
当初は海外では「DB」の人気は高くなかったのですが、アニメを89年、96年の2回、版権をとった違う放送局で放送しています。アニメ自体は米国でもマニア受けしたのですが、放送規模の小ささから全体的な人気とまではいきませんでした。表現に規制がかかっていたこともあり様々なシーンで描写変更を余儀なくされました。ところが1998年に大手放送局が版権を取ることで状況が一変、DBは大人気コンテンツとして急成長しました。私も当時、ニューヨークに遊びに行った時、友人の家でリアルタイムで観て、盛り上がりました。大型スーパーマーケットに、パンやお菓子を売っているようなグルグルの器具が入った自動販売機があって、黒いパックに入った英語版を現地で買いました。
国内外問わず、人気が高いのはやはり、キラカード、そして、配布カードや懸賞に当選しないと入手できなかったカードです。キャラクターとしては孫悟空が一番で、ブルマらの女性キャラも人気です。先ほど書いたように、規制の影響だと思うのですが、アニメからフェイドアウトしたキャラクターの日本製カードが隠れた人気だったりすることもあるようです。例えば、くしゃみをすると銃を撃つランチみたいなキャラです。
「DB」カードには、キャラクターの紹介だけでなく、名場面を切り抜いたもの、セリフをクローズアップしたもの、必殺技などを記したものなどがあります。「カードダス」は弾を重ねるごとに仕様が進化していき、ギミックがプラスされたりします。91年の「スーパーバトル」シリーズでは、シールが貼られていて、それをはがすとキラカードが出てきました。「隠しレア」と言われています。これは、状態がよければ10万円をこえる価格で取引されています。
「DB」の作者である鳥山明さんの原画をセルにおこして再現した「ビジュアルアドベンチャー」シリーズも人気のシリーズです。ほかのカードにあるような、余分なデータがないため、イラストを楽しむためのものです。今後のことを考えると、最も高くなりそうです。鳥山さんはフランスで2019年に芸術文化勲章をもらったほど、世界で知名度が高いです。「DB」カードもフランス版がありました。フランスでは自動販売機でなく、店頭売りのパック商品だったようです。
「DB」カードがロングセラーになっている理由は、もちろん「DB」のストーリーの人気もありますが、集英社とバンダイがタッグを組んで、クオリティーの高いものを作ろうとしているところにあるのかもしれません。実際に何年かごとに、集英社の求めるレベルに達しない商品は販売差し止めになったりするほどです。だから、POKEMONのように、何世代にもわたり、カードを収集している人が多いのでしょう。
もちろん、もうすごい金額で取引されている「DB」カードもあります。ネットオークションの「eBay」では最近でもシングルカードが80万円前後で売買され、「ヤフオク!」では未開封のボックスに100万円を超える落札額がついています。ただし、まだまだカードショップやネットオークションでまだ安価で購入できるものもあります。MINT横浜店でもジワジワと売れていますが、まだ在庫がございます。MINTモールにも出品中です。PSAでも何枚か、グレーディング鑑定を受けた履歴が残っています。そうなると、「Goldin Auctions」にもやがて、出品されることが予想されます。今後が注目です。
柴田哲平(MINT横浜店)
キャラクターカードの知識はMINTでもトップクラス。コレクションはビックリマンシール1弾より。カードはSDガンダムカードダスが最初。Magic:The Gathering、旧裏時代のポケモンカード第1弾に触れてカードゲーム業界へ。元々はレトロゲームプレイヤーで、ゲームそのものにも詳しい。