イギリスの君主として歴代最長となる70年にわたって在位してきたエリザベス女王が9月8日午後、96歳で天国へ旅立った。イギリス王室が、静養先の北部スコットランドのバルモラル城で亡くなったと発表した。8日朝の診察のあと、健康が懸念される状態だとして、医師団の監督のもとに置かれていた。
エリザベス女王は、1926年4月、のちの国王、ジョージ6世の長女として生まれ、1952年、国王の死去に伴い、エリザベス2世として25歳で、王位を継承した。2015年には、19世紀のビクトリア女王を抜いてイギリスの君主として在位最長を更新。今年6月には、在位70年を記念する祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が盛大に行われるなど、イギリスの統合を象徴する存在だった。
エリザベス女王は、ソーシャルメディアを活用して、国民とコミュニケーションを積極的にはかる姿勢を打ち出し「開かれた王室」を実践。新型コロナウイルスの感染が拡大し、社会に不安が広がった際には、テレビ演説で連帯を呼びかけた。
9月6日には、与党・保守党の新しい党首に就任したトラス首相をバルモラル城に迎え、任命式を行ったが、これが最後の公務になった、という。公共放送BBCによりますと、ロンドンのバッキンガム宮殿以外で首相を任命するのは70年の在位期間中で初めてで、女王の健康状態に配慮したものだった。
エリザベス女王の棺は、今後、スコットランドからロンドンに運ばれ、葬儀は、国葬としてロンドン中心部のウェストミンスター寺院で行われる。エリザベス女王の死去を受け、王位継承順位が1位だった長男のチャールズ皇太子が国王に即位した。
チャールズ国王はイギリス王室を通じて声明を発表した。「私の最愛の母、女王の死去は私と家族全員にとって最大の悲しみのときだ。私たちは大切な君主、そして愛すべき母の死去を深く悼んでいる。女王の死は国全体、イギリス連邦、そして世界中の数え切れないほどの人たちに深い悲しみを持って受け止められている。私と家族は女王が広く敬愛されていたことを知ることで慰められ支えられる」
イギリス国民だけでなく、世界に愛された。BBCは、エリザベス女王のこれまでの軌跡を写真や動画を交えて伝えるなど、通常の放送から切り替えて情報を伝え続けた。ウィンザー城の上に虹が出ている様子も中継で伝えた。バッキンガム宮殿の前では、雨が降りしきる中にもかかわらず、多くの人が途絶えることなく訪れ、宮殿の門の前に花束を手向けた。
世界各国のメディアも、一斉に女王の死を速報。各国の多くの著名人がその死を悼んだ。スポーツ界ではサッカーの元イングランド代表のデビッド・ベッカムも自身のSNSに「私たちが感じている悲しみは女王がこの国や世界の人々にとってどれほど重要な存在であったかを示しています。彼女のリーダーシップが私たちにどれほどの影響を与え、困難なときにどれだけ私たちを勇気づけてくれたでしょうか。女王はその最期の日まで品位と品格をもって国に尽くしてくれました」と綴った。
世界に愛されたことを証明するひとつがトレーディングカードの存在だろう。1935年のタバコのおまけカードをはじめ、多くのトレカが作られ、人気を集めていた。ネットオークション「eBay」では、1952年のTOPPSがルーキーカードとして出品落札されている。TOPPSでは2018年、2020年のイギリス皇族の結婚式に合わせてカードセットを制作。その中にもエリザベス女王のシングルカードが封入されている。
トレカジャーナル編集部