サッカーのルヴァン杯決勝が10月22日、国立競技場で行われ、サンフレッチェ広島がセレッソ大阪を2−1で下し、初優勝を飾った。広島のタイトルは2015年のJ1制覇以来、7年ぶりで、カップ戦は9度目の挑戦で初制覇となった。
前週の天皇杯決勝ではJ2甲府に敗れた。この悔しい敗戦を含め、1993年のJリーグ発足から広島は天皇杯で6度、ルヴァン杯で2度、決勝に進みながらすべて準優勝。9度目の挑戦で頂点に立った。
ミスから先制を許したが、ロスタイムに奇跡が起きた。後半51分、途中出場したキプロス代表のFWピエロス・ソティリウがPKを決め同点。さらに5分後、ルーキーのMF満田誠の右コーナーにソティリウが合わせて勝ち越した。「チームワークで勝ち取った勝利です」とソティリウ。後半34分にC大阪の守備の要、マテイヨニッチが乱暴行為で一発退場となり、数的有利になったことも味方した。
天皇杯では延長後半にPKを失敗し号泣した満田は、この日のインタビューでは男泣き。国立競技場で沸き返るサポーターに向け「悔しい思いをさせた分、結果で恩返しをしたかった」とまた、泣いた。
「我慢強く戦ったことで逆転につながった。ほっとしている。切り替えるつもりでも、気付くと天皇杯を振り返っていた」とGK大迫敬介はイレブンの気持ちを代弁した。今季から指揮を執るスキッベ監督は「前を向いていこう。過去は変わらないが未来は変えられる」とチームに呼び掛けた、という。
最優秀選手には2得点のソティリウが選ばれ、チームは優勝賞金1億5000万円を獲得した。
「広島はカップに縁がない、という言われ方もした。自分もチームも一皮むけたと思う」と大迫は言った。かつて広島に在籍し、21日に32歳の若さで急逝したJ3宮崎の元日本代表FWの工藤壮人さんに捧げる優勝にもなった。
試合前日に飛び込んできた工藤さんの訃報。2017、18年にともにプレーした主将のDF佐々木翔は「感情の整理は難しかった」と苦しい胸の内を明かした。試合前の黙とうで自然と涙が流れてしまったが「僕らはサッカーをできていることに感謝しながら彼の分もプレーし続けなきゃいけなかった」。ベンチに掲げられた工藤さんがつけていた9番のユニホームもうれしそうに揺れていた。
トレカジャーナル編集部