今季限りで日本でのプレーを終える女子ソフトボール米国代表でトヨタのモニカ・アボット投手が10月23日、愛知・豊橋市民球場で行われたJDリーグ、対シオノギ戦で地元のファンに別れを告げた。先発で6回1死まで無失点に抑え、12三振を奪った。チームは2-0で勝ち、アボットは今季8勝目、日本リーグ時代から通算14年で138勝目をあげた。
すでに西地区の優勝を決めているトヨタは、24日がレギュラーシーズン最終戦となるが、11月12日からの日本一を決めるダイヤモンドシリーズはZOZOマリンスタジアムでの試合のため、この日は多くの地元ファンらがアボットとの別れを惜しんだ。
降板する際にはリリーフの日本代表・後藤希友を抱きしめた。試合後のセレモニーでは言葉を詰まらせた。そして、最後は日本語で観客に向かって「あなたの心が私に勇気をくれました。いつもベストを出して皆さまに感動を与えるために、私がマウンドに向かう姿を覚えていてください」と笑った。
その後の記者会見では「トヨタが強くなる転換期に立ち会えて、自分も成長できた。(日本を離れる理由は)神のお告げがあり、体とも相談した。そして次の世代が育ち、バトンを渡してもいいかなと思った」と明かした。米国で現役を続けるかどうかは「シーズンが夏からなので、それまでに考える」という。
カリフォルニア州サリナス生まれのアボットは189センチの長身サウスポー。気迫あふれる投球で、日本のソフトボールの発展と人気向上に貢献した。北京五輪、ベストナインにも選ばれた東京五輪と2度の銀メダルに輝き、世界選手権では4度の優勝。トヨタでは6度のリーグ優勝に導き、MVPにも5度、輝いた。米国では、 ナショナルプロ・ファストピッチ (NPF) で5回優勝、 MVPを4回を獲得。大学でも多くの個人記録を保持している。
すでに、JDリーグからの「引退」を発表した10月5日には自身のSNSで「14年前、私は日本に来て、トヨタレッドテリアーズソフトボールチームでプレーする機会を頂きました。アスリートとしてとても成長し、そして何より重要なのは人として成長しました。そして今日…、感謝の気持ちを持ち、そして最大の喜びと愛情と共に、私は一つのご報告をします。2022年のシーズンが私にとって、日本そしてトヨタレッドテリアーズでプレーをする最後の年となります。私にとって…これは素晴らしい物語の幕を閉じるお祝いです。トヨタがシーズン終盤を迎えるにあたり、この私の物語の最終章を一緒にお祝いしていただくべく、皆さまに球場にお越しいただきたいと思います」とその思いを綴っていた。
ソフトボールのトレーディングカードは珍しいかと思いきや、日米をまたにかけたレジェンドだけに、TOPPS社からはオールスポーツの米国代表カードや人気ブランドの「Allen & Ginter」でもカードになっている。
さらに、日本でも最新のオールスポーツカード、BBM「Infinity 2022」が、来年からは見ることができないレッドテリアーズのユニホーム姿をカードにした。まさに「タイムリーヒット」ともいえるカードになった。
トレカジャーナル編集部