NPBの2023年シーズンが3月30日、エスコンフィールド北海道での北海道日本ハム・東北楽天戦で開幕した。今年は変則日程で、この1試合だけが先行され、残りの開幕5カードは翌31日に行われた。
ファイターズの新本拠地として公式戦初試合となったエスコンフィールド北海道では開幕セレモニーに、WBCで日本代表侍ジャパンの指揮官を務めた栗山英樹前監督、梨田昌孝元監督、トレイ・ヒルマン元監督と北海道日本ハムの歴代監督3人が登場。当初、始球式に登板予定だったヒルマン元監督が、捕手を務める予定の栗山前監督を始球式のマウンドに指名。打席に立った梨田元監督と話し合って決めたサプライズに球場は沸いた。WBCでの優勝で一躍、時の人となった栗山前監督へのリスペクトを込めた指名でもあった。
日本を代表するアスリートや人気者が登板するNPBの始球式。そのシーンをカードにした始球式カードは年々、注目度が高まり、トレーディングカードの世界でも人気のカテゴリーに成長した。人気アイドルらの直筆サインカードも収録され、驚くような市場価格で取引されている。
BBMだけでなく、エポック社でも昨年、オンデマンドカードの「Epoch One」で女子ゴルファーの始球式カードを発売。 2023年シーズンの第一投となった栗山前監督の始球式もカードになることが濃厚だ。歴代の始球式カードだけを集めた「始球式カードセット」の制作を期待する声も多い。
31日の巨人-中日戦(東京ドーム)での女優・橋本環奈さん、東京ヤクルト-広島東洋戦(神宮)での乃木坂46・賀喜遥香さんの始球式カードも登場するか、期待が高まる。
さて、各地の開幕戦でのセレモニーを観ていて感じたことがある。始球式カードはあるのに、なぜ「国歌斉唱カード」はないのだろうか。「君が代」については、起立して歌うことなどが議論されてきたが、スポーツにおいて、とくに国際大会ではひとつのセレモニーとして認められ、讃えられている。MLBでも、スタジアムでは毎日、試合前に有名人や一般募集された人が国歌の「The Stars and Stripes」を静寂の中で熱唱し、最後は大きな拍手と歓声の中、歌い上げる。
歌う人に派手さはないかもしれない。動きがないので見栄えもよくないかもしれない。そう考えると、始球式ほどの華やかさはないかもしれない。それでも、サッカー日本代表の森保一監督が国歌斉唱で涙を見せるように、時として、人の心を揺さぶるものがある。その感動をカードを見直すことで呼び戻すことができるかもしれない。
MLBのカードでは選手の表情を写した「国歌斉唱カード」がほとんどで、歌い手のカードとしては3月31日のMLB開幕戦でセントルイス・カージナルスのアダム・ウェインライト投手が国歌独唱をサプライズ指名され披露した姿がTOPPS NOWでカード化されたほか、ビーチボーイズのカードセットの中に含まれていた程度しか無い。過去のMLBカードでは企画されたものの実現されなかった「国歌斉唱カード」もあったというが、そのハードルは高そうだ。だからこそ日本のカードで観たいものだ。
【2023年 NPB開幕戦の始球式と国歌斉唱】
☆3月30日
北海道日本ハム・東北楽天(エスコンフィールド)
始球式=栗山英樹(前監督)
国歌斉唱=なし
☆3月31日
埼玉西武・オリックス(ベルーナドーム)
始球式=清塚信也(ピアニスト)
国歌演奏=埼玉栄中学・高校マーチングバンド部
福岡ソフトバンク・千葉ロッテ(Paypayドーム)
始球式=西畑大吾(なにわ男子)
国歌斉唱=なし
巨人・中日(東京ドーム)
始球式=橋本環奈(女優)
国歌斉唱=クリス・ハート(歌手)
阪神・横浜DeNA(京セラドーム大阪)
始球式=ランディ・バース(元阪神内野手)
国歌斉唱=丘みどり(歌手)
東京ヤクルト・広島東洋(神宮)
始球式=賀喜遥香(乃木坂46)
国歌斉唱=平原綾香(歌手)
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。