MLBロサンゼルス・エンゼルスは昨年7月に開催されたドラフトの1巡目(全体13位)で指名したザック・ネト遊撃手のメジャー昇格を発表。ネトは4月15日のレッドソックス戦「8番・遊撃」でデビューすると翌16日の同カードではトップバッターに起用され、球団の期待の高さをうかがわせた。
2試合連続ノーヒットに終わったが、デビューから3試合目、最初の打席でレフトへメジャー初ヒットを記録。続く大谷翔平投手の右前安打で一気に三塁へ進む好走塁。ハンター・レンフロ―外野手のゴロの間に初得点もマークした。
キャンベル大学出身の22歳の初昇格に驚いたのは私だけではないはずだ。新人の彼はまだマイナーリーグで44試合、201打席しか立っていない。メジャーリーグではいくら即戦力としてドラフトされても1、2年はマイナーリーグで修業を積むのが一般的で、野手に限ればドラフトされた翌年までにメジャー昇格を果たした選手は21世紀に入って17人しかいない。ドラフト指名した選手と即メジャー契約を結ぶことが禁止された2012年以降に絞るとわずか9人しかおらず、マイナー201打席での昇格はニコ・ホーナー遊撃手(シカゴ・カブス)の375打席を上回るここ10年で最速のスピード昇格となる。
本人も昇格後のインタビューで「正直もうちょっと後だと思っていた。チームの状況次第で9月かオールスター後とか」と驚いていた様子で私も同じように考えていた。期待の有望株とはいえ昇格を急がせ過ぎなのでは?という声も聞こえてくる。何をやっても上手くいかないエンゼルスなので、つい悪い方に考えてしまいがちだが、違う見方もあるようだ。
有望株好きなら必読の米国の専門誌「ベースボールアメリカ」では「ネトの早期昇格は素晴らしい兆し」と題した記事を掲載。野球界ではかつてのようにじっくりと若手を育てることをしなくなったとの言説があるが、大物になるような選手は早期昇格からスター街道を歩んでいることが少なくないと解説し、ホアン・ソト外野手(ワシントン・ナショナルズ、現サンディエゴ・パドレス)は512打席、ブライス・ハーパー(ナショナルズ、現フィラデルフィア・フィリーズ)は536打席でマイナーを卒業したと例を挙げている。
ネトがソトやハーパー級の選手になれるかは分からないが、同記事は「今回の昇格はネトが2022年ドラフト組で最高の選手の一人であろう事を強く示唆している」と結んでおり、カードコレクターとしても彼の今後の活躍に期待したくなってくる。
ミントモールで直筆サインカードが出ていたのを思い出して調べてみたら、MINT池袋店が出品していた「2022 Bowman Draft Baseball Los Angeles Angels Zach Neto Chrome Draft Pick Autographs, Base Refractor 307/499」(30,000円)は既に完売。ザッカリー・ネトと読める丁寧なサインなので(選手はスターになるにつれてサインが簡略化していく事が多い)1枚手に入れておこうと思ったのだが残念。購入した人はとても良いタイミングで手に入れたことになるかもしれない。
Norn(ライター)
米4大スポーツがメインのコレクター。各球団のポケットスケジュールを集めていたが近年のペーパーレス化で絶滅しかかっているのを悲しんでいる。マイナーの試合にも足を運ぶBowman愛好家。