ヴィッセル神戸は5月25日、、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの退団を正式発表した。イニエスタは神戸市内のホテルで涙の会見を行った。
イニエスタはスペイン代表として「UEFA EURO 2008」「2010 FIFAワールドカップ南アフリカ大会」「UEFA EURO 2012」で優勝。魔法のようなパスで「イルージョニスタ(手品師)」と呼ばれてきた。2017-18年シーズンでラ・リーガの名門バルセロナを退団。神戸の三木谷浩史会長がスペインまで直接出馬しての交渉も実を結び、推定年俸約32億5000万円という破格の契約で来日した。
2019年からは神戸で主将を務め、クラブにとって初タイトルとなる20年元日の天皇杯優勝にも導いた。同年秋に開催されたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)では右太ももを負傷しながらもベスト4入りへ貢献した。
会見には神戸のチームメートとともにイニエスタの家族も出席した。スペインから母と妹も来日。温かい目で見守られた会見で「神戸に来たことは自分の人生で最高の決断の一つ。ここで引退する姿を想像していた」と涙した。
「家族を温かく歓迎してくれた国に今では特別な感情がある。日本にいる間に2人の子供が生まれ、新しい家族がこの素晴らしい国で成長し、日本語を学び、友情を育みながら生活できた。本当にありがとうございます」と神戸、日本への感謝の思いを口にした。
チームは現在、リーグ首位を走る。だが、イニエスタの出場は3試合で38分間だけ。スタメン出場もない。コンディション不良などで調整が遅れたこともあるが、何より、チームの戦術が変わり、司令塔としての役目が奪われた。ボールポゼッションにこだわるスタイルから、ハイプレスなどハードワークをベースに攻撃では前線にロングボールを集める戦術が選択された。
今季いっぱいの契約を満了する前に退団を決めた39歳。引退はせず、現役は続ける、という。すでに中東などからオファーもあるようだ。神戸は6月6日に東京・国立競技場で古巣・バルセロナと親善試合を行う。この日の会見で7月1日の札幌戦(ノエスタ)が神戸でのラストゲームになることも発表された。
スーパースターのイニエスタだけにトレーディングカードも多い。スペイン代表、バルセロナ時代のカードは人気だが、来日して、日本のトレカになってくれたことには心から感謝したい。エポック社の「Jリーグ オフィシャルカード」、さらに同社のオンデマンドカード「EPOCH-ONE」は神戸とライセンス契約をしたのが21年からだったが、それでも多くのカードを残してくれた。
ありがとう、イニエスタ。さようなら、イルージョニスタ。
Mickey(ライター)
トレカジャーナルのライター陣の中でも国際派として知られる。高校時代に米国留学、社会人になってからイタリアのローマに駐在経験も。米国滞在中にトレカにはまる。それでも、応援する球団は千葉ロッテマーリンズ。