テニスの全仏オープンは6月8日、混合ダブルス決勝を行い、加藤未唯、 ティム・プッツ(ドイツ)組がビアンカ・アンドレースク(カナダ)、マイケル・ヴィーナス(ニュージーランド)組を相手に4-6、 6-4、マッチタイブレークを10-6の逆転で勝利。加藤、ボイツともキャリア初の四大大会初優勝を飾った。
加藤が全仏オープンの混合ダブルスに出場するのは今回が初。男子ダブルスで世界ランク24位のプッツと、エントリー締め切りの2分前にペアを組むことを決め、出場となった。
第1セットを落とし、第2セットも相手の強烈なショットに苦しんだが、第9ゲームで加藤がボレーを決め、先にブレークに成功。サービング・フォー・ザ・セットとなった第10ゲームをキープし、1セットオールで並んだ。
10ポイントマッチのマッチタイブレークを制し、逆転で1時間半を超える熱戦に終止符。勝利の瞬間、加藤は両腕を突き上げた。昨年大会のW・クールホフ(オランダ)とペアを組み日本人25年ぶりの優勝を果たした柴原瑛菜に続き、日本女子が同大会同種目を2連覇を果たした。
優勝スピーチでは用意してきたメモを読み、関係者に涙ぐみながら感謝。「ここまではチャレンジングな日々でした。精神的にも大変でした。ここ数日特に大変でした。女子のダブルスから色んなことがありました」と振り返った。
加藤は今大会、女子ダブルスの3回戦でコートに落ちていたボールを返球した際、ボールガールに直撃。危険行為として失格となった。失格騒動はテニス界に大きな波紋を広げた。
その女子ダブルスでコンビを組んだアルディラ・スーチャディ(インドネシア)も客席からこの日の決勝を観戦。加藤はスーチャディに「女子ダブルスで組んでくれてありがとう。我々は失格処分になりましたが、全力を尽くしました。また女子ダブルスで頑張りましょう。女子ダブルスでここに来たいですね」と呼びかけた。
さらに「ボールガールが無事であることを願っています」と言った後、失格を主審に要求したとされる対戦相手にも言及し「女子ダブルスで対戦したペア、サラ(・ソリベストルモ=スペイン)とマリエ(・ブズコバ=チェコ)にも、また良い試合をしたいと私は願っています。失格は残念でしたが、いい結果が出て、(自身の)ポイントが戻ることを願っています」と訴えると、観客からは大きな拍手が送られた。
女子ダブルスでの失格騒動、混合ダブルスでの優勝で脚光を浴びた加藤だったが、実はトレーディングカード界ではかねてから注目の的だった。2018年から3年連続でBBMが制作していた女子アスリートカード「シャイニング・ヴィーナス」にテニス選手を代表して収録。直筆サインカード、箔サインカード、チェキカードなど様々なバリエーションのカードが封入されて人気を集めていたのだ。
その中の1枚、26,000円で販売された2020年のチェキカードには「加藤未唯です」「応援お願いします」の直筆メッセージとともに日の丸のインスクも。ついに、「シャイニング・ヴィーナス」のエースが日本のエースになった。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。