ドミンゴ・ヘルマン投手(ニューヨーク・ヤンキース)が6月28日、オークランドコロシアムでの対アスレチックス戦で完全試合を達成した。
MLBの完全試合は2012年8月15日のフェリックス・ヘルナンデス(シアトル・マリナーズ)以来11年ぶり、史上24人目。ヤンキースでは1957年のワールドシリーズでのドン・ラーセン、1998年のデビッド・ウェルズ、1999年のデビッド・コーンに次ぐ4人目の快挙となった。
最後の打者、エステウリ・ルイーズの打球を捕球した三塁手のジョシュ・ドナルドソンから一塁手のアンソニー・リゾにボールが渡るのを確認すると、両手を広げた。マウンドに集まってくるチームメイトを迎えるためだった。
MAX160キロの直球にカーブとチェンジアップで緩急をつける投球が全開。「9回はとにかく緊張した。とてもエキサイティングな一日だった」と話した。99球のまさにパーフェクトな完全試合。唯一、強烈な一塁ゴロをさばいて、偉業をアシストしてくれたリゾからウイニングボールを受け取った。
TOPPS社のオンデマンドカード「Topps Now」では早速、ヘルマンの完全試合カードを制作。枚数限定の「コレクターズエディション」、ホームベースを裁断して挟み込んだレリックカードもラインナップされた。今後、発売されるパック、ボックス商品にも歓喜の瞬間がカードになるだろう。
ドミニカ共和国出身の右腕は今季、この日の5勝目が通算31勝目だった。2019年にシーズン18勝をあげ、スター投手への道を歩むはずが、DVで翌年に81試合の出場停止処分を受けたこともあり全休。今季は5月に粘着物質使用で10試合の出場停止となっていた。
敵地ながら、9回にはスタンドの観衆は総立ちになって、大きな声援を送り、その瞬間にはさらに大きな拍手で祝福した。これがメジャーである。1996年のクアーズフィールドでの野茂英雄投手(ロサンゼルス・ドジャース)のノーヒットノーランを目撃したボクは、当時のコロラド・ロッキーズファンもそうだったことを思い出した。
「このようなことを達成できたことは永遠に記憶に残るだろう」昨季まで背負ってきた背番号55を今季から0に変えた。紆余曲折のメジャー6年目、まだ30歳。まさにゼロからの再出発でどんな道を歩んでいくのだろう。そして、どんなトレーディングカードが作られていくのだろう。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。