日米女子ツアー「TOTOジャパンクラシック」の最終日が11月5日、茨城・太平洋C美野里Cで行われ、稲見萌寧(Racuten)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算22アンダーとし、今季初優勝をあげた。JLPGAツアー通算13勝目は、日米両ツアーを兼ねた大会で、米ツアーとしては初優勝となった。
首位に1打差の3位から出た稲見は12番でバーディーを奪い単独首位に立ったが、15番でボギーをたたき、ペ・ソンウ、桑木志帆に追いつかれた。「(勝てないことが)よぎった。でもいいイメージを頑張って作った」。17番で残り197ヤードの2打目を2オンさせバーディーを奪い、抜け出した。
18番でパーパットを沈め、2022年8月の「ニトリレディス」以来、1年3か月ぶりの優勝。笑顔はすぐに涙でくしゃくしゃになった。「今年は苦しい時期のほうが多かった。優勝できてよかった」
コロナ禍の影響もあり、統合された2020-21年シーズンに9勝をマークして賞金女王に。2021年の東京五輪では銀メダルも手にした。昨季も2勝したが、今季は序盤に途中棄権を挟み、自己ワーストの4試合連続予選落ちも経験。ルーキーイヤーから勝利を積み重ねてきた「TOP PLAYER」が「毎年必ず1勝を目標に頑張っていた。このままでは終わりたくない」と苦しんだ末に、この日の優勝で5年連続ツアー勝利となった。
腰痛も勝てない要因のひとつだった。スイング改造も繰り返した。苦しんだ分、気持ちもタフになった。「大人になれたかな。前はうまくいかないと落ち込んだり怒ったりしていた。今はなんでうまくいかないかを考えるし、どうしたらいいか(周囲に)相談します」
日米共催の今大会で優勝したことで米ツアーの来季シードも手にした。「今までは日本で頑張る感じだったが、世界で戦える選択肢が増えたことは新しい未来が切り開かれたのかな」と笑った。
稲見の最新トレーディングカードは、エポック社「2023 JLPGA OFFICIAL TRADING CARDS TOP PLAYERS」。発売前に配布されたプロモーションカードには、いつものように稲見は大きなハートをアレンジしたプリントサインが記されている。今、見直すと、まるで、たくましくなったハートのように、これまで以上に大きく見える。
そして、その横には通算12勝を意味する「星と12」が記されている。
輝きを取り戻した星。まずは13に書き換えねばならない数字もまだまだ、増えそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。