寒い日が続くが、こんな時に思い出すのは、なぜか、ハワイである。1995年の2月、ボクはハワイのマウイ島に1か月、滞在した。まだ、「埼玉西武」ではなかった西武ライオンズのスプリングトレーニング(春季キャンプ)の取材である。東尾修監督が就任した1年目。とにかく、暑かった。そして、コレクショングッズも熱かった。
ショッピングモールのおもちゃ屋には探していたサッカーの「Starting Line Up」が勢ぞろいして、爆買いした。「Crazy Shirts」というTシャツのチェーン店には「ハワイアン・ウィンターリーグ」のチームのTシャツとジャンパーが売っていた。「マウイ・スティングレイズ」は「デビルレイズ」の元祖のようなエイがモチーフだった。同じくマウイ島のラハイナに本拠地を置く「ラハイナ・ホエールズ」はホエールウォッチングが有名だったことから命名された。
「ハワイアン・ウィンターリーグ」は1993-97年の第1期、2006-08年の第2期にハワイで開催された。日本(NPB)、アメリカ(MLB)、韓国(KBO)から派遣された若手選手がシーズンオフの11月から1月にかけて、4チームに振り分けれて戦った。第2期には各チームに2人ずつハワイ出身選手を入れる条件もあった。
NPBからは、まだ「イチロー」ではなかった鈴木一朗外野手(オリックス)、新庄剛志外野手、桧山進次郎外野手(ともに阪神)、井口資仁内野手、城島健司捕手(ともに福岡ダイエー)らが参加。MLBからはジェイソン・ジアンビ内野手(アスレチックス)、デレク・リー内野手(パドレス)らも加わり、スター選手への階段を駆け上がるきっかけをつかんだが、残念ながら2008年限りで財政難からリーグは消滅してしまった。
マウイでの生活がすっかり気に入ったボクが2001年に家族ともう一度、マウイに飛んだ。カードショップは探しきれなかったが、古本屋でトレカを扱っていることは事前に取材済みだった。そこで、見つけたのが「ハワイアン・ウインターリーグ」のトレカである。1995年にはなかった、イチローのトレカを見つけ、狂喜乱舞した。バットを構える「ヒロ・スターズ」のユニホームに身を包んだ鈴木一朗のカードにはプリントの金サインが入っていた。裏面には「リプロダクション(リプリント)」と記載されており、1993年に「ハワイアン・ウインターリーグ」を告知するために作られたプロモーションカードである。
1996年に「ヒロ・スターズ」でプレーした新庄の「オリジナル」カードは以前に入手していたが、こちらはチームセットの中の1枚だった。それを考えると、鈴木一朗のリプリントでもプロモカードのレア度がわかる。
今年に入って、「ヤフオク!」で、もう1枚の鈴木一朗「ハワイ・ウィンターリーグ」カードが出品されているのを発見。何とか、落札することができた。知人が古着屋で、「ヒロ・スターズ」の「STARTER」(もちろん、レアなUSA製)のジャケットを購入して、吉祥寺の焼鳥屋に着てきた時は運命すら、感じた。
気になることがひとつある。1枚目はカードナンバー#1、2枚目は#5であることだ。#2~4は誰なのだろうか?
さて、1枚目はスクリューダウンから出してマグネットホルダーに移し替えて、新たにゲットした1枚もマグホに入れて隣に置いた。なかなか、歴史の重みが伝わってくる2枚が並ぶのは壮観である。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。