WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチが12月31日、東京・大田区総合体育館で行われ、王者の井岡一翔(志成)が挑戦者の同級6位ホスベル・ペレス(ベネズエラ)を7回2分44秒KOで下し初防衛に成功した。
恒例となった12度目の「大みそか決戦」を制した。井岡にとって2020年の12月31日に田中恒成を8回TKOで破って以来のKO勝利。5日前の12月26日に史上2人目の2階級4団体王座統一を達成した世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)を再び、引き離す世界戦日本人最多の22勝目となった。
KOを狙うと宣言した通り、井岡は1ラウンド(R)から積極的に前に出た。的確なボディー攻撃から3Rにはハードパンチャーの相手と打ち合った。5Rにはボディーから左右のフックなどで、2度のダウンを奪った。そして7R、左ボディーから右ストレートを打ち込むと、ペレスはたまらず、3度目のダウン。そのまま、立ち上がることはできなかった。
「久しぶりのKO勝利を皆さんにお見せできて、超気持ちいい~」と井岡はリング上で叫んだ。「ペレス選手は序盤からいいパンチがあったが、最後まで戦う闘志を見せたかったので、ぶれずにできた。普段、KOにはこだわっていないが、皆さんにも久しぶりに味わっていただきたかった」と、応援してくれる人々に捧げる勝利だったことを明かした。世界戦22勝目についても「意識はしてないです。現役を終えて振り返ったときに積み重ねてきた記録。12年間、長く応援して頂いている皆さんに感謝したい」と再び、感謝した。
この日の勝利で念願のWBC同級王者フアンフランシスコ・エストラダ(メキシコ)との統一戦も実現に一歩、近づいた。井岡陣営は「来年5月をメドに」と交渉を継続しており、2024年の大一番が楽しみだ。
日本ボクシング史上に名前を刻み続ける井岡だけに、トレーディングカードも多い。BBMのオールスポーツカードには毎年のようにサインカードを提供。ここでも、ファンへの感謝を忘れない、ということだろう。王者は、その拳(こぶし)とトレカに思いを込めて、走り続ける。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。