米大手オークションハウス「Goldin Auctions」で1月14日、NFLのレジェンド、トム・ブレイディの1 of 1野球カードが158,600ドル(約2350万円)で落札された。
このカードはTOPPS「2023 BOWMAN DRAFT」に封入されたブレイディの野球カード。「米国史上最も偉大なアスリート」とさえ呼ばれるブレイディだが、ジュニペロ・セラ高では野球部に所属し、強肩強打の捕手として、1995年のMLBドラフトでモントリオール・エクスポズから18巡目、全体507位指名を受けた経験がある。その指名の際のカードを、当時の「BOWMAN」のデザインで復刻したもの。
▶『2023 TOPPS BOWMAN DRAFT BASEBALL HOBBY』
▶『2023 TOPPS BOWMAN DRAFT BASEBALL SUPER JUMBO』
世界に1枚しかないパラレル「Superfractor」で、PSAで9点のグレーディング評価を受けている。ブレディはNFLトレカの史上最高額の記録を持っているだけに、どこまで入札額が上がるか、注目されていた。
落札額の158,600ドルも十分に高額だが、事前に、今回のブレイディがエクスポズのユニホームを着た写真について、違うエクスポズの捕手の写真を基に顔と背番号を加工したCGなのではないか、という疑惑がSNSで拡散されたことも若干の影響があったのかもしれない。
1 of 1という事実、サインは間違いなくブレイディのものであり、ここまで落札額は上がった。それでも、NFLトレカの史上最高額とされる、米大手オークション「リーランズ」で落札されたブレイディのペイトリオッツ時代のルーキーカード(RC)、「2000 PLAY OFF CONTENDERS」の「ROOKIE THICKET」のサインカード(BCG9)についた3,107,372ドル(約3億4000万円)には遠く及ばない。
「Goldin Auctions」ではブレイディの同じ「BOWMAN」ブランドのRC「2000 BOWMAN CHROME」の「Refractor」(PSA10)が498,000ドル(約7370万円)で落札された履歴があるが、これに比較しても、想定外の落札額だったかもしれない。
ブレイディはエクスポズには入団せず、ミシガン大へ進学。1999年のNFLドラフトでペイトリオッツから6巡目、全体199位で指名された。QBとしてペイトリオッツ、タンパベイ・バッカニアーズでプレー。リーグ史上最多となる18度の地区優勝、14度のカンファレンスチャンピオンシップ進出と10度のカンファレンス制覇、さらには同ポジションでそれぞれ歴代最多となる7度のスーパーボウル制覇と5度のスーパーボウルMVP獲得を達成した。
今回のブレイディのカードには81枚のサインカードがあり、インスク入りのものも存在。インスクの1枚にはフランス語で「Let’s Go, Expos」と書かれている。カナダのケベック州にあるモントリオールはフランスのパリの次に大きなフランス語圏の町で、7割の市民の第1言語がフランス語である。エクスポズは2004年のシーズンを最後にワシントンに移転し、ナショナルズとなった。その意味でも、レアなカードとして脚光を浴びている。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。