様々なカルチャーが集まる街、渋谷。
その中でもひときわ個性あふれるショップが集まり、現代の渋谷カルチャーの集合点でありながら、発信地でもある「渋谷PARCO」。
その地下1階、飲食店が立ち並ぶ「カオスキッチン」の一角に、ミント渋谷店はあります。渋谷という街において歴史上重要な役割を果たしてきたここに、トレーディングカード専門店が出店することを予想していた人は多くは無かったのではないでしょうか。
店内には最先端のブラックミュージックやソウルが流れ、円柱状のスタイリッシュなショーケースにスポーツカードを中心としたトレーディングカードが並びます。
TCGで遊ぶための店内スペースは、なんと周辺の飲食店からのドリンクのテイクアウトが可能。
テーブルは二層に分かれた特別仕様になっており、大切なカードを汚してしまう心配なく、ゆったり楽しむことができます。
スタイリッシュな外観・内観で、海外からの観光客もひっきりなしに訪れるスポットであり、個性豊かなミント店舗の中でも、ひときわ異彩を放つ渋谷店。
そこで活躍する中川店長に今回はインタビューをお願いしました。
―これまでの経歴や、ミント渋谷店でご活躍されるまでのきっかけを教えてください。
中川店長「12歳ぐらいのときですかね、明大前の『Jo’s Sports Card』というところで、初めてトレーディングカードというものに触れました。そこの当時のオーナーがとてもかわいがってくれて。そこからトレカとの付き合いが始まりましたね。おつかいで『ベケット』を渋谷まで買いにいったりとか。お駄賃でカードをもらってました(笑)
それで、16歳の時から『Jo’s Sports Card』で働きはじめました。なんと26年前です(笑) 1997年のころは第1次トレカブームと言われていて、とにかく盛り上がっていましたね。ジョーダン(Michael Jordan)も現役だったので、シカゴ・ブルズも人気で。アレン・アイバーソンが新人王をとったり…懐かしいなぁ。イチローや松井など海外で活躍する選手も多くいましたし、NBAなどの海外製品も人気でした。あと、ドジャースは野茂の影響でよく売れていたのを覚えています。」
「そこから色々あって、ミントに入社してもう13年が経ちます。2017年に配属された旧渋谷店から数えると、今年で渋谷は6年目になります。他のスタッフはトレーディングカードゲームも詳しいんですが、僕はトレカ専門でここまできましたね。」
―ミントだけでなく「トレカ」も超ベテランですね!中川店長は長年スポーツトレカの現場でご活躍されていますが、以前と比べて現代のトレカに変化は感じますか?
中川店長「昔はひたすらずっと番号順に集める、いわゆる「コンプリ」をするお客様が非常に多かったですね。ルーキーカードも当時はそこまで意識している人も多くなかったように思います。プロ野球カードは2003年からチーム別でカードが発行開始されて、サインカードが入るようになったんですが、それまで日本のプロ野球カードにはサインカードがありませんでした。そのような事情もあり、レギュラーとインサートカードをとにかく皆さん集めていました。昔はシリアル入りカードすらなかった時代ですから、インサートカードの価値も今より高かったように思います。BOXに1枚ぐらいの割合で封入されているインサートが12種類ぐらいあって、それをコンプするために皆さん目の色を変えて開封していました。」
「あと、今と比べてネットが一般的じゃなかったことが大きいと思いますね。もちろんネットを使ってた人もいたとは思うんですが、少数派だったと思います。熱心なコレクターの方は店舗に足を運ぶのはもちろん、カードショーでトレードや情報を集めたり、コミュニティを作ったりしていました。そういうところに来ないとわからない情報とかもあったり。『スポーツカードマガジン』っていうのもありましたね。隔月で発行されていました。それと『ベケット』!これはもう、マストでした!(笑) 無いと価格がわからないんですよ。今みたいに検索してすぐに出るわけじゃないので。あとは週刊のベースボールとかバスケットの雑誌とか買って、誰が活躍したりしているかという情報を得ていました。”電話注文”もありましたね、電話やファックス、ハガキを使って雑誌に載ってるカードとかを注文するんですよ。今からすると信じられないですよね(笑) とにかくアナログでしたね。昔のトレカ業界は。」
「今はスポーツカードだと、たとえ無名な選手だとしてもルーキーカードを大事に持ってますよね。昔は有名なルーキーカードにしか注目が集まらなかったんです。昔はルーキーが全員カード化されるわけではなかったので当然のことかもしれませんが、それでも今はコレクションするうえで、ルーキーカードがすごく重要になってきてるなと感じます。レギュラーカードを熱心に集めるコレクターの方もあまり見なくなりました。もちろんベースカードを今でもコンプし続けている方はいると思うんですが、トレカの集め方自体が、昔と比べて大きく変わったと思います。」
―中川店長自身、カードの収集もかなりされているとお聞きしました。
中川店長「テキサスレンジャーズのノーラン・ライアン、それとオリオールズのマイク・ムッシーナ。この二人がずっと大好きで、集めています。特にマイク・ムッシーナのコレクションだったら日本で僕の右に出る人はいないと思います(笑) あとはRUN DMCとか、ミュージシャンのトレカを集めていますね。少し前にヒップホップ50周年ということで、ヤンキーススタジアムでイベントが開催されたんですが、それのアニバーサリーカードとか出ないかなって期待してます。絶対カートンで買いますよ!」
―現在、様々なTCGが一大ブームとなっています。そんな中、スポーツカードはこれからどうなっていくと思いますか?
中川店長「まず、スポーツってこれからもずっとなくならないものだと思うんですよね。つまり、スポーツカードが販売されなくなるというのは考えづらい。それこそ今後何百年と続いていくと思います。現代のスター選手といえば大谷翔平ですが、昔もそれぞれの世代にスターがいたわけじゃないですか。昔のスター選手を集めながら、大谷のようなスターがリアルタイムで次々現れてそれも収集していくとなると、これはもう一生楽しめる趣味ですよね。あと、実は最近、今までコレクションを楽しんでいた世代が親世代になって、その子供がまたコレクションを始めるという、一種の世代交代が起こってるんですよ。だからスポーツトレカをコレクションする人口がこれからも増えていって、もっと盛り上がっていくんじゃないかなと思っています。」
「何年も前のカードを見ていると、カード1枚1枚を通して、その選手やチームの歴史を振り返られることも、スポーツトレカの大きな魅力ですよね。所属チームやスタイルも変わっていくけど、カードを見れば『ああ、この時代はこうだったね』と仲間や自分自身でいつでも振り返ることができる。だからスポーツトレカ自体が普遍的なもの、趣味としてずっと残っていくと思います。トレカの本質は変わらないので、それを楽しむ人がいるということも、ずっと変わらないんじゃないですかね。」
―ところで「渋谷PARCOにカードショップがある」というのはすごいことだと思うのですが、それについてどのようにお考えですか?
中川店長「日本の流行の最先端である渋谷、その渋谷の最先端であるパルコというのは、いわば日本の若者全体に影響を与えている施設に出店するわけですから、トレカに関心を持ってもらって、トレカをもっと広めたいなという思いがありました。流行に敏感な街なので、リアルタイムで活躍しているスポーツ選手などをお客様にアピールできるようにしています。」
―渋谷店は他の店舗に比べても、全体的にユニークな印象を受けます。普段どのようなことを意識して営業されているのでしょうか?
中川店長「それは渋谷、そしてパルコという立地が大きいと思います。僕としてはもともとファッションや音楽などのカルチャーが好きなので、そういうところに敏感なお客様が来店していただいてるのは嬉しいです。僕、日本で一番好きな街は渋谷なんですよ。子供のころからずっと渋谷に来てますから(笑) この街に慣れ親しんで、影響を受けて、人生を変えられた街なんです。同じように若い人が渋谷パルコやミント渋谷店に来ることで、何か影響を受けてくれたらとても嬉しいですね。」
「若い方からベテランコレクターの方、海外の方まで、世代やカルチャーに合わせて、すべてのお客様を大事にするようにしています。例えば、若い方はスポーツトレカにあまり触れたことが無い方が多いので、有名選手のカードをご案内して興味を持ってもらったりとか。陳列に関しても、貴重で高額な商品を集めたショーケース、今活躍していたり話題になっている選手を集めたショーケース、ワールドカップなどイベントに合わせて各国の代表選手を集めたショーケースをそれぞれ用意するなど、幅広い世代に興味を持ってもらえるような売り場を作っています。常に新鮮なショーケースなので、楽しんでもらえると思いますよ。週1回のペースで来ても配置が変わってますから(笑)」
中「なかでも海外からのお客様には、おかげさまで非常に多くご来店いただいています。実は昔、自分が海外に行ったときに、ずっと行きたかったお店ですごく良い接客をしてもらって、それからブランドごと大好きになったという経験があるので、ミント渋谷店までわざわざカードを買いに来てくれた海外の方には『日本のよい思い出の一つになってくれたらいいな』と思いながら、接客しています。以前”トップス ナショナルカードデー”という無料でカードがもらえるイベントがあったんですが、MLBとサッカーのカードがなくなってしまい、来店された海外の方にカレッジフットボールのカードを渡したら『これは僕のチームメイトのカードだ!』と(笑) まさか渋谷でチームメイトのカードをもらえるなんて夢にも思わなかったと大変喜ばれていました。そういう体験を通して、また日本に来たら渋谷に行きたいな、と思ってもらえたらいいですね」
―渋谷店はいつ来てもスタッフの方が個性豊かで、和気あいあいとしている印象を受けます。なにか中川店長が意識していることがあるのでしょうか。
中川店長「スタッフにとっても、明るく楽しい場所づくりをするのが、僕の役目だと思っているのでそれを強く意識していますね。仕事ができる、できないとかはお客様に対して失礼がなければ、全然気にしないです。まずは楽しく働いてもらうということが一番重要だと思っています。あと、渋谷店のスタッフはなぜかみんな流行に敏感でファッションに興味がある人も多いです。僕自身もスニーカーやファッションが好きなので、そういう話題で盛り上がることも多いですね。トレカやスポーツのことだけではなく、スタッフが様々なことに興味を持って、知識を自然に増やして、それを元にお客様に色々な提案ができるようにしていきたいです。」
―今後渋谷店をどのようなお店にしていきたいと考えていますか?目標のようなものがあれば教えてください。
中川店長「常に最先端の情報を発信できるようなお店にしたいですね。活躍している旬の選手、お店が推している商品などを陳列して、その情報を発信する、いわばセレクトショップのようなお店を目指しています。渋谷パルコという特殊な立地にあるからには、色々なカルチャーを内包した、良い意味で『カオスなお店』を極めていきたいですね。近々店内もリニューアル予定なので、楽しみにしていてください(笑)」
―これからさらに進化する渋谷店が楽しみです!最後に何かメッセージをお願いします。
中川店長「渋谷に遊びに来た際は、ぜひ一度遊びにきてください。デート、買い物、食事や飲み会も渋谷パルコの地下1Fで全部できます!色々な楽しみ方ができる店舗なので、いつ来店されても楽しめると思います。待ち合わせ場所に使っていただいても大丈夫なので、ぜひ一度覗いてみてください。普段からご来店いただいているお客様、今後ともぜひ、お気軽に遊びにきてください!ご来店をスタッフ一同お待ちしています!」
古くからスポーツトレカの現場で活躍し続ける、中川店長。
トレカのこれまでを見つめてきた中川店長が、「これから」を楽しみそうに語る様子はとても印象深いものでした。
その知識量には、初心者の方から熱心なマニアの方まできっと満足できるはずです。
東京の中心から独自の路線で発信を続けるMINT 渋谷店。
中川店長の言葉通り、新陳代謝が早く常に進化し続ける店内は、何度も足を運びたくなること間違いなし。
ぜひ、「MINT 渋谷店」にご来店ください!
■MINT 渋谷店 店舗情報
住所:〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO B1F
TEL:03-6277-5205
営業時間:11:00~21:00
定休日:渋谷パルコの休館日
※現在「MINT 渋谷店」では、一緒に働くスタッフを大募集中です!
ご応募はこちらから!
文:伊藤 航(株式会社ミント 広報)