高校通算140本塁打を放った佐々木麟太郎内野手(花巻東高3年)が米スタンフォード大の進学することを発表した。超高校級スラッガーは2月20日、岩手県の同校で会見を開いた。
世界大学ランキングでは英オックスフォード大に次ぐ2位の大学。佐々木は学費、寮費全額免除となるフル・スカラーシップで入学する。学業面では卒業までの過程は難関となる。「覚悟を持って決断しました。大学としてすごく魅力がある。サポートが充実している」と佐々木は進学先を選んだ理由を口にした。学業面のサポート、選手として具体的な育成プランや年間打席数の提示などが決め手になったという。「いろいろな言語、文化、思考を持つ方と交流させていただくことで、より高い知識、知恵、思考が構築できると思っている」
佐々木の父でもある花巻東高・佐々木洋監督の薦めもあった。佐々木監督は当初、麟太郎の進路について高卒からのNPB入りを考えていたという。だが、2022年12月に胸郭出口症候群の手術を受けたことや2023年6月に背中を負傷したことで「監督としては(NPB
の)評価が下がったかなという印象。(打球)角度も上がっていなかった。打率ではなく、OPS(出塁率+長打率)の評価が高い米国の大学のほうが、可能性が広がると思った」と経緯を明かした。
野球部は全米大学選手権に19度、出場を果たした名門で2021年からは3年連続で出場。1987、88年には全米王者にも輝いた。2月15日にオンラインで会見したデビット・エスカー監督は佐々木について「(MLBドラフト)1巡目指名を受ける能力はある。パワー、スイングスピードはトップレベル。そういう意味では大谷に近い」と最大級の賛辞を贈った。
その評価は準備された背番号にも表れた。大学側が提示した番号は「3」「17」「25」。「17」は母校の先輩でもある大谷翔平(ドジャース)がMLBで背負ってきた。「25」は佐々木が憧れるMLBの本塁打王、バリー・ボンズ外野手がジャイアンツで着けた。それでも、佐々木は「3」を選んだ。「3イコール長嶋茂雄さんというイメージ、印象がすごく浮かんでいた。プロ野球界で記録だけでなく記憶にも残る選手がつけていた番号。そういう理由で最終的に3番に決めさせていただきました」
今後のビジョンに関しては2026年のMLBドラフトだけでなく、2027年のNPBドラフトも視野に入る。「(自分は)まだまだ未熟。レベルアップして2、3年後のドラフトで指名をいただければうれしい」と話した。米国の大学は日本と違い、9月から新学期がスタートする。それでも、早ければ3月中にも渡米し、4月からはプレクラスで授業。野球部練習にも参加する予定。2025年2月から始まるリーグ戦でのデビューを果たす。
大学ユニホームでのトレーディングカードは日本より米国のほうが作られている。PANINI「ELITE EXTRA EDITION」やTOPPS「BOWMAN UNIVERSITY」など人気商品も多い。佐々木がスタンフォード大学で豪打を披露すれば、背番号3のトレカが作られるはずだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のボブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。