競泳のパリ五輪代表選手選考会が3月18日、東京アクアティクスセンターで行われ、女子100メートルバタフライ決勝では、白血病を乗り越えた池江璃花子(横浜ゴム)が派遣標準記録(57秒34)を上回る57秒30で2位に入り、3大会連続の五輪代表入りを決めた。
個人種目では2016年のリオデジャネイロ五輪以来、2大会ぶりの出場となる。平井瑞希(ATSC・YW)が56秒91で1位になり、池江とともに五輪切符を手にした。
池江は16歳だったリオデジャネイロ大会で五輪初出場を果たし、この種目で5位入賞。期待を集めていた矢先の19年2月に白血病が分かった。闘病を経て競技に復帰し、21年東京大会はリレー種目に出場。選考会で100メートルバタフライを制したものの派遣標準記録を上回れず、個人種目の出場は逃していた。
「本当によかったあ、って。パリの切符をつかめて、今の自分に満足している。(この先)56秒台はすぐに出ると思うので、自分のレースが楽しみになった。久しぶりに、高校生ぶりに、レースが楽しみでワクワクして、何秒出るんだろうっていう気持ちになって、 そういう気持ちを取り戻せたっていうことが、自分の中で大きい収穫だったかなと思います」と喜んだ。
パリ五輪へ向けては「決勝に残ることが一番の目標。15歳の時の自分の記録を、今の段階で超えてるので、 16歳で出場したリオオリンピックの決勝のタイムを自分がちゃんと上回ること。自分を超えられるのは、自分しかいないので、そこを信じて、 コーチを信じて、自分を信じて、泳いでいきたい」と続けた。
水泳が池江を成長させた。いや、池江だからこそ、奇跡の復活ができた。「自分ができないって思ってたことも、水泳を通してできるようになったり、いろんなチャンスを掴ませてくれる経験をさせてくれるのが水泳だと思う。 本当に水泳に出会えてよかったなって思うし、ここまで戻ってこれてよかったなと思う。だけど、もっともっと上に行きたいですし、もっともっと上に行ける自分もいるって思っている」と振り返った。
池江はトレーディングカードが作られない女性アスリートとして知られていたが、BBMが「2021 FUSION」で始球式カードを、「2022 CROWN」で初めて競技カードを作った。次のトレカは、パリ五輪での雄姿を再現したものになるだろう。メダルの色は何色でも構わない。勇気を与える力強い泳ぎと、最高のスマイルをパリで、そしてトレカでまた、見たい。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。