Wリーグのプレーオフ・ファイナル第3戦が4月15日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナで開催され、富士通レッドウェーブが89-79でデンソー アイリスに勝利。対戦成績を2勝1敗とし、16年ぶり2回目のリーグ制覇を達成した。
先に2勝したチームが今シーズンのチャンピオンになるWリーグのファイナル。初戦を制したレギュラーシーズン1位の富士通と第2戦で逆転勝ちした同2位のデンソーが激突した。
試合は第1クオーター、富士通は林咲希が3Pシュートのフェイクからのドライブで先制。デンソーもシーズンMVPの髙田真希がインサイドアタックで得たフリースローで返す。その後も、富士通・町田瑠唯がドライブを決めれば、デンソー・木村亜美ドライブをやり返すなど一進一退の攻防に。23-22と富士通の1点リードでこのクオーターを終えた。
第2クオーターに入ると富士通は敗れた第2戦で課題だったオフェンスリバウンドやディフェンスでペースをつかみ、赤木里帆ら、ベンチメンバーが得点を重ねて45-36とリードを9点に広げた。昨年12月に町田が故障してから、ベンチメンバーは全員で勝利をつかむため、目の色を変えて実力をつけた。
第3クオーターは開始からデンソーが厳しいディフェンスで流れを取り戻し、髙田の速攻などで連続得点を挙げて、3点差に猛追。富士通も得意のスリーポイントで反撃し、富士通の9点リードのまま、勝負の第4クオーターに突入した。
第4クオーターはデンソーがゴール下の高田にボールを集めて得点したのに対し、富士通はベンチメンバーが得点をつなぎ、残り5分を切ったところで宮澤がスリーポイントを決めて、この日、最大となる15点差に。そのまま、最後まで粘るデンソーを振り切った富士通が栄冠をつかんだ。
レギュラーシーズンのアシスト王に輝いた町田はこの試合でも8得点9アシストでチームの攻撃をけん引した。「チームに入ってから13年間の思いや、今まで関わってきてくれた人の思い、ずっと応援してくれるファンや家族に恩返しがやっとできたと思う」と司令塔は自身初の優勝に、涙も見せながら喜んだ。
チームトップの18得点を記録したキャプテンの宮澤がMVPに選ばれた。「優勝できて本当にうれしい。きのうの試合で負けた原因が相手のオフェンスリバウンドだったので、そこを絶対に全員で取ろうと臨んだ。きょうは気持ちが出たと思います」と振り返った。
ENEOSサンフラワーズから移籍して3年目。ENEOSでは7回の優勝経験がある宮澤だが「ENEOSは常勝軍団だったが、富士通ではみんなでつかみ取った優勝だと思う。たくさんの人に試合を見てもらって、もっとバスケットボールが盛り上がればいいと思うし、見ている人に勇気や感動を与えらえられる選手になれたらいいと思う」と話した。モットーは「日々前進」。ポジティブさを忘れない。
「プレーオフベスト5」には
ジョシュア ンフォンノボン テミトペ(富士通)
町田瑠唯(富士通)
宮澤夕貴(富士通)
馬瓜エブリン(デンソー)
赤穂ひまわり(デンソー)
が選ばれた。
パリ五輪へ向け盛り上がる女子バスケットボール。今回の熱戦がその人気に、トレーディングカード人気に拍車をかけそうだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。