B1リーグのチャンピオンシップ決勝第3戦が5月28日、横浜アリーナで行われ、広島ドラゴンフライズ(ワイルドカード)が昨年王者の琉球ゴールデンキングス(西地区2位)に65-50で勝利。対戦成績を2勝1敗とし、初優勝を飾った。
広島は第1クオーター(Q)から司令塔の中村拓人や山崎稜の3ポイントなどで17-12と主導権を握った。第2Qも多彩な攻撃で着実に得点を重ね、36-29で前半を折り返し。第3Q以降も琉球に1度も追いつかせず、そのまま押し切った。
ワイルドカードから頂点まで駆け上がったのは、2021-22シーズンの宇都宮ブレックス以来で2度目。昨季もワイルドカードから初のチャンピオンシップ(CS)に進出も、準々決勝で敗退していた。2016年のBリーグ創設から4シーズンはB2。B1に昇格した2020-21年シーズンから4シーズン目で初の頂点に立った。B2から昇格したチームの優勝は初、となった。
3月にチームリーダーの寺嶋良が右膝を負傷し長期離脱。チームはそこから結束し、レギュラーシーズンの残り19試合を15勝4敗。ワイルドカードでのCS進出を決めた勢いは止まらず、CSでもの三遠ネオフェニックス(中地区1位)に2連勝、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(西地区1位)との準決勝は2勝1敗で突破した。
山崎がCSのMVPに選ばれた。レギュラーシーズンでは51試合の出場(先発43試合)で1試合平均7・9得点だったが、CSでは全8試合に出場して13・9得点をマークした。
富山、宇都宮から群馬を経て、広島に移って1年目。「広島がまさかここまで上がってくると思っている人は、誰もいなかったと思う。そういったことを一切気にせず、自分たちを信じて戦ってきた。チーム全員の信じる力と、信じ合った信頼の形がこの優勝に繋がった」と山崎は話した。
広島にはNPBのカープ、Jリーグのサンフレッチェが本拠地を置くが、今回の躍進でドラゴンフライズの注目度も急上昇。横浜アリーナにも広島から多くのファンが駆けつけた。サンフレッチェのホーム、エディオンピースウイング広島ではパブリックビューイングも行われ「GEKOKUJO JAKE」(下克上じゃけぇ)のキャッチコピーで盛り上がった。
「カープやサンフレッチェに負けたくないという思いがあった。広島にもっとバスケを根付かせ、広げたい。本当に注目されてるんだなと感じている。広島県全体で応援してくださる中で、恩返しをしたいという気持ちで戦えた。声援を力に変えられた」と感謝した。
寺嶋の代わりに司令塔役を務めたプロ2年目の中村拓は「3月の時もCSに入る前にも、良さんから『頼んだぞ』とメールをもらいました。良さんのために、という思いでやってきた」と話した。そして、今季限りで引退する広島のレジェンド朝山正悟の存在もあった。
Bリーグ創設以前から広島でプレーする42歳の大ベテラン。B2時代の2017-18年シーズン途中には、リーグ初の選手兼任監督を務めた。主力としてB1昇格に貢献し、チームを支えてきた。今季は出場機会は限られ、ポストシーズンでもベンチから仲間を鼓舞した。「最高の景色、てっぺんからの景色が見ることができた」と目を潤ませた。
ドラゴンフライズは6月にドバイで開催される「バスケットボールチャンピオンシップリーグ アジア」(BCL Asia)に日本代表として出場する。
「ファンの方に(当初は)そこまで認知されていなかったと思う。それでもシーズンが進むと、街中でも声を掛けてくださる方が増えた」と山崎は話した。それは、トレーディングカードでも同じ。パリ五輪へむけ盛り上がるBリーグのトレカ。今回の初優勝で、ドラゴンフライズの各選手のカードも、Bリーグの人気チーム、人気プレーヤーに負けない注目度を集めた。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。