パリ五輪の女子やり投げ決勝で8月10日、世界女王の北口榛花(JAL)が65メートル80で日本女子トラック&フィールド種目初の金メダルに輝いた。日本勢の金メダルは今大会17個となり海外開催の五輪では2004年アテネ五輪を抜き単独最多となった。
昨年の世界選手権(ブダペスト)を初制覇してから、金メダルを期待され続けてきた。予選では1本目に62メートル58をマークし、自動通過となる62メートルを突破して、2大会連続の決勝進出。東京五輪では、日本勢57年ぶりに決勝に進んだが、決勝では左脇腹の痛みなどで12人中12位に終わった。
決勝では、1回目の投てきでシーズンベストの65メートル80をマークしてトップに。競技場を大きくどよめかせた。そのままリードを守り、最終の投てきをする前に優勝が決まった。競技が終わると一緒に戦ったライバルたちに次々と抱きつかれて祝福された。
最後の投てきを終えた直後から涙が止まらなかった。そしてトラックの脇に設置された、金メダリストだけが鳴らすことができるという大きな鐘を何回も鳴らし、日の丸を持ったまま何回も飛び跳ねて喜びを体現した。
「うれしいだけじゃ足りないくらい、ことばにできないくらいの気持ちで、いまだに実感がわかない。シーズン最初はあまりうまくいかなくて不安もたくさんあった。ずっと味方をしてくれる人もいたのでありがたかった。誰かが信じてくれなかったらここに立てなかったと思う」と話した。
「いつもは6投目までのんびりしているが、きょうはすごい選手ばかりだったので、プレッシャーをかけられるように、1投目から絶対に行きたいと思って臨んだ」と「作戦勝ち」も口にした。「選手村に入ってからは毎日、夢の中で70メートルを投げていたので悔しい部分もある。夢の中で終わってしまった記録も、次はかなえられるように頑張りたい」と笑顔で続けた。
エポック社は同社のオンデマンドカード「EPOCH-ONE」でパリ五輪でメダルを獲得した日本人選手、チームをカード化する「TEAM JAPAN オフィシャルトレーディングカード パリ2024オリンピックメダリストシリーズ」を発売するが、これで、北口の金メダルカードの発行は決定。豪快な投てきか、笑顔か、涙か、女王のカードが楽しみだ。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。