今永昇太投手(カブス)が9月4日の対パイレーツ戦に先発し、7回を無安打に抑え12勝目をマークした。救援陣も安打を許さず、継投でノーヒットノーランを達成した。
MLB移籍後、6度目の中4日で上がったマウンド。初回は死から味方の失策で走者を出したが、遊撃ゴロ併殺打。6回にもバックの失策が重なり走者を2人、出したが、高めの速球と低めの変化球で三振ふたつを奪い切り抜けた。
四球もふたつ、与えたが、高めの速球と低めの変化球を効果的に使い分けて7三振を奪い、相手打線を寄せつけなかった。
登板中は奪三振の数と四球の数のみを確認していて、7回を終えてベンチでカウンセル監督に伝えられるまでノーヒットとは気づいていなかった、という。「7回投げ終えて無失点だったらいつも監督は明るい表情をして寄ってくるが、深刻そうな表情だったので『なにを言われるんだろう』と思った」。
カウンセル監督からは「次の試合もその次の試合もいい状態を保ってもらいたい」と言われた。95球の投球数も含め、ノーヒットノーランの可能性も十分にあったが「ボクも全く同じ考えなので従いますという形で降板した」と未練なく、マウンドを降りた。
このあと、8回をピアソン、9回をホッジが無安打に抑え、継投でノーヒットノーランを達成しカブスは12-0で勝利した。
「リリーフで難しい状況でマウンドに上がる彼らの方が、準備する段階から難しかっただろうし、プレッシャーがかかる場面だったので、リリーフの2人とリードしたキャッチャーにはすごくリスペクトの気持ちがある」と今永は救援のふたりに感謝した。
ワイルドカードでのプレーオフ進出圏内まで4.5ゲーム差。「どういう状況でも自分が試合を作ってチームに勝つチャンスを与えなければいけないというのは一緒で、プレッシャーは感じていない。アメリカに来てそういうメンタルの持ち方はすごくうまくなった」と自らの精神面での成長を実感した。
カブスの継投ノーヒットノーランは2021年6月24日のドジャース戦で4投手で達成して以来、2度目。継投以外も含めると18度目(メジャー3位)の無安打無得点試合となった。本拠地リグリー・フィールドでは72年9月2日パドレス戦以来52年ぶり。
MLBではひとりでも、継投でもノーヒットノーランは同等に扱われる。日本投手のノーヒットノーランは野茂英雄がド軍時代の96年9月17日ロッキーズ戦、レッドソックス時代の01年4月4日オリオールズ戦で2度、マリナーズ・岩隈久志が15年8月12日オ軍戦で達成。継投でのノーヒットノーランに加わったのは今永が日本投手初となった。
この快挙にTOPPS社のオンデマンドカード「TOPPS NOW」も異例の対応となった。今永、ピアソン、ホッジのスリーショットのカードとともに、今永の単独のカードを制作し、今永は使用球のメモラビリアカードの発注も受け付けた。
Cove(ライター)
元スポーツ紙ライター。国内外のコレクションアイテムを収集して30年あまり。バブルヘッドのコレクションが自慢で日本唯一のバブルヘッドライター(自称)。トレカはレギュラカードのコンプリと日本人メジャーが中心。