かつてベースボールマガジン社の「スポーツカードマガジン(SCM)」で16年間にわたって続いた「カードで見る新外国人選手活躍予想」という企画を執筆させていただいていた。今年はジョーンズ(オリックス)を筆頭に大物助っ人が例年以上に来日。伝説の企画を復活させるにふさわしいシーズンと言えるだろう。
米国でのカード発行種類は5000を越える。メジャー通算282本塁打。オリオールズのスター選手で米国の球宴に5度出場。ジョーンズは間違いなく本物だ。NPBへの移籍は想定外だったのだろう。2020年のTOPPSのリテイル版にインサートカードが封入されている。バファローズでは4番を打つが、打率.280、30本塁打は堅いのでは?若い選手が多いバファローズだけに数字以上の影響を与えることが大きい。
ジョーンズに続く約1800種類が発行されているのがムーア(ソフトバンク)。2013年にレイズで17勝するなどMLB通算54勝。故障とも戦い続け昨年はヒザの手術を受けた。3月1日の阪神とのオープン戦では1イニングを1安打2奪三振。圧巻の150キロのクロスファイヤーを決めて片りんを見せた。体調が万全なら、かなりの数字を残せそう。ジャイアンツなどにも所属したサウスポーだが、おすすめはレイズ時代のカードだろう。
約1100種類が発行されているのがオースティン(横浜DeNA)とエスコバー(ヤクルト)のふたり。オースティンはご存じの通り、ヤンキースでメジャー初打席初本塁打。本塁王ジャッジもこの試合で初打席初アーチを放ち、球史に名前を残した。通算33本塁打と伸び悩んだが、来日デビュー戦となる2月15日の巨人とのオープン戦で初打席から2打席連続弾を放ち、周囲を驚かせた。公式戦の初打席にも期待が膨らむ。印象に残るアーチを連発してベイスターズの22年ぶりのレギュラーシーズンVに貢献するかも。米国製カードではジャッジとのコラボカードが秀逸。
エスコバーは守備の名手。2015年にはゴールドグラブ賞に輝いた遊撃の守備だけでスタンドを魅了する。米国製カードも守備のシーンが多い気がする。MLB通算成績は11シーズンで打率.258、41本塁打だが、1367安打を記録しておりNPBの水に合えばそこそこの数字は残せるのではないか。カードはもちろん、華麗な守備のシーンがいい。
勝負強さならパーラ(巨人)。昨季、ナショナルズのワールドシリーズ制覇に貢献し、シャークダンスでも球場を盛り上げた。MLB出場試合数は新外国人選手ではジョーンズの1823試合に続く1466試合。打率.276、264本塁打、522打点を残している。ゴールドグラブ賞に2度、輝いているが、NPBでは守備よりも、ここ一番の打撃で目立ちそう。オープン戦では志願して外野守備につくなど真面目さも、寝違いで途中交代しており、故障が心配。ナショナルズではムードメーカー的な役割を担っていたこともあり、巨人ではクロマティの再来、という声もあがっているが、どちらかといえば、ロイ・ホワイトの再来ではないか。
意外にも、パーラの約610種を越える種類を発行しているのが、とスパンジェンバーグ(西武)。オースティンを越える通算92本塁打のパワフルな打撃が魅力のボーアは約760種。マーリンズでイチロー、エンゼルスで大谷とプレーし、かなりの日本好き、NPB通という触れ込みだが、日本の投手の投球術に対応できるか?スパンジェンバーグは2011年にパドレスからドラフト1巡目(全体10位)指名を受けたプロスペクトだったこともあり、約690種が発行されている。MLBレッズへFA移籍した秋山の代役に期待されるが、2017年に13本塁打も記録したパンチ力と、内外野をこなす守備力はまるで外崎。派手さはないがリーグ3連覇へチームを支える存在になりそう。ちなみに「スパンジェンバーグ」の9文字はNPB史上最長の登録名になる。
失礼ながら地味でも広島のトリオは堅実に成績を残すだろう。ピレラはヤンキースでメジャーデビューしMLB通算302試合に出場したこともあり約260種がある。ともにセットアッパー候補のスコットは約60種、DJ・ジョンソンはマイナーのチームセットのみの発行。外国人選手を外さない球団だけに日本で成功して日本製のカードをたくさん、発行してもらいたい。
韓国プロ野球(KBO)を経由して来日したふたりにも注目。昨季、サンチェス(巨人)は17勝をあげ、サンズ(阪神)は打率.305、28本塁打を残し113打点で打点王に輝いた。対応力の高さは証明ずみで、時間はかかるかもしれないが、調子を上げてくるのではないか。サンチェスは、米国製カードはないが、サンズは約290種類も発行されており、集めやすい。
最後に、巨人は2月28日、育成契約だったイスラエル・モタ外野手と支配下登録を結んだ。厳密にいえば、来日2年目で新外国人ではないがオープン戦での活躍でその存在を知り、ファンになった人も多いだろう。ドミニカ共和国出身で他国のプロ野球に所属したことがないため、カードは発行されていない。今年のBBM「1st バージョン」にも間に合わなかったため、BBMの「巨人チームパック」、「2ndシリーズ」にルーキーカードが封入されることになりそうだ。
cove【ライター】
国内外のベースボールカードやコレクションアイテムを収集し続けて30年。元スポーツ紙ライター。