7月19日、米国のオークションにてNBAバスケットボールのスーパースター、レブロン・ジェームズのルーキー時代のカードが180万ドル(約2億円)で落札されたと報じられた。
約15万ドル(約1600万円)からスタートした本カードは最終的に約160万ドル(約1憶7000万円)で落札。手数料を含めると日本円で2億円近い金額となったが、これは以前当コラムでもお伝えした5月のメジャーリーグのスター、マイク・トラウトの5枚限定ルーキーカードの落札金額92万ドル(約1億円)を大幅に超える記録となり、トレカ関連のニュースサイトに限らず一般メディアでも広く伝えられた。
今回のカードは2004年にリリースされたUpper Deck社当時の最高級商品「Exquisite Collection」に封入されていた直筆サイン入りのルーキーカード。落札されたカードは通常のカードに較べて出現しにくいパラレル版となり、選手それぞれの背番号枚数分しか生産されていない。そうなると選手によって封入枚数が異なり、レブロンの場合には23枚限定のカードとなる。「Exquisite Collection」は1箱にカードが5枚しか入っていないながらも、販売価格が約7万円と当時としては例のない“超高級商品”としてリリースされた。商品内容の豪華さに加え、レブロン、カーメロ・アンソニー、ドウェイン・ウェイド等ルーキーの活躍により話題を集め、早期にマーケットから姿を消した伝説の商品である。発売から数年間は1万ドル(約100万円)程度で取引されていたレブロンの当該カードも選手自身の成長、成功と比例をするように価格が上昇。当時想像をしていた以上の価格で取引される事態となっている。
スポーツビジネスジャーナリストDarren Rovell(@darrenrovell)が行った落札者へのインタビューによると、落札者は「投資家」であり「投資ビジネスの戦略の一環」として本カードを落札したとのこと。約130年前に煙草のおまけとして生まれたスポーツカードは今や金や不動産、絵画と同様に投資対象として扱われるまで成長した。
今回のオークションを成立させたGoldin Auctionsでは、7月28日から開催されるオークションに於いて前述のメジャーリーグ、マイク・トラウトの世界で1枚しか存在しないカード(2009 Bowman Chrome Super Fractor )の出品が告知されており、そのスタート価格は100万ドル(約1億円)。最終落札価格はレブロンの2億円を超え、2016年に記録したスポーツカード史上最高落札価格約3億3千万円(T206 Honus Wagnerという20世紀初頭に発行された野球カード)を上回るのではないかという予想も出ている。コレクターのみならずビジネスの世界からも注目されるオークションが、この夏始まる。
荒川豊【Sports & Card Games Bar MINT SHIBUYA副店長】
90年代初頭からNBAカードの収集を始め、気が付けばトレーディングカード業界で販売する側のエキスパートに。好きな選手はDanny Ainge。