「オスカー」の名前を知っているサッカーファンは、通の中の通じゃないだろうか。
本名は、ジョゼ・オスカー・ベルナルディ。
ブラジルの名門サンパウロFCで活躍、当時のブラジル代表でキャプテンを務めた名ディフェンダーだ。沈着冷静なポジショニング、高度に戦術眼は世界のトップクラスと言えた。
その世界的なプレーヤーが、1987年、当時に日本リーグ時代の日産自動車サッカー部へ移籍していきたのは、日本サッカー界にとって大きな衝撃だった。
日産は、木村和司、水沼貴史、柱谷幸一など強力な攻撃陣を擁しながら、読売クラブの後塵を拝していた。
しかし、このオスカーの加入によって守備面が強化されるとともに、プロ意識が高まり、1988-89シーズンに、リーグ、天皇杯、JSLカップの国内三大タイトルを初めて完全制覇した。
現在の横浜F・マリノスの前身が、この日産サッカー部。
その日産時代からの歴史をたどったJリーグ初の「Histoty of Yokohama tricolore」が2005年に横浜F・マリノスオフィシャルトレーディングカードとして発売された。
その内容は、日産時代とマリノス時代と、これまでの歴代名プレーヤーがずらり。また日産サッカー部の創部から2004年サントリーチャンピオンシップ優勝までチームの歴史を振り返るスペシャルシーンカード、さらに豪華な直筆サインカードなどなど、まさしくヒストリーカードと言える内容。
そのボックス裏面のラインナップにも掲載されていないスペシャルなカードが、このオスカー直筆サインカード。
ナンバー、AAP1。
もう1枚、山田隆宏選手がAAP2で存在する
前記したが、1987年に現役を引退したオスカーは、日産サッカー部の監督として、翌シーズンも2年連続国内最大タイトルを制した。ブラジルに帰国後、国内のクラブの監督を歴任し、1995年に再び京都パープルサンガの監督に就任し、その年に京都をJ1昇格に導いた。
Jリーグ以前に、世界のトッププレーヤーが現役でプレーした、おそらく初めての選手であり、まさに、その意味での先駆者の貴重な1枚と言える。
Chief【ライター】
国内サッカーを中心にトレカの世界を長年に渡って見守って来た元スポーツ雑誌編集者。横浜F・マリノスサポーター。