MLBが7月24日、開幕した。新型コロナウィルスの影響によりレギュラーシーズンは60試合のみの開催で、プレーオフ進出争いはもちろんだが、各タイトル争いもどんな展開が待っているのか、これまでのシーズンとは違い、注目を集めている。
その中で、カードコレクターにとって最も気のなるのが新人王争い=ルーキーたちの活躍だろう。今季はマイナーリーグの開催が全面的に中止となったため、TOPPS「BOWMAN」などで高騰したハッソン・ドミンゲス外野手(ヤンキース)らのプレーが見られず、残念な1年間となった。それでも、MLBは特別措置で開幕ロースターを30人に拡大したこともあり、多くのルーキーが登録された。ルーキーの活躍は、ルーキーカードの高騰にそのまま直結するだけに、目が離せない。
そこで、開幕3連戦で飛び出したルーキーたちを紹介したい。もちろん、シーズンが進むにつれて台頭してくるルーキーもいるだろうが、開幕カードでの活躍はインパクトも大きく、ルーキーカードの値上がりに影響を与えた。
ルイス・ロベルト(ロバート)外野手(ホワイトソックス)は25日のツインズとの開幕戦に「7番・センター」でスタメン出場し2安打のマルチヒットデビュー。翌26日にも安打を記録すると、27日には前田健太投手からバックスクリーン左へプロ初アーチを叩き込んだ。
キューバ代表にも選ばれていたロベルトは16年に米国へ亡命。17年にホワイトソックスと契約し、順調にマイナーリーグをステップアップ。今年1月に6年総額5000万ドルで契約更新した。すでに2018年「BOWMAN」のクロームが300ドル(約3万6000円)以上の価格で取引されていたほか、今年発売されたTOPPS「Opening Day」のショートプリント(SP)は廉価版にもかかわらず、100ドル(約1万2000円)前後のプライスでベケット誌に掲載された。開幕カードの活躍もあり、TOPPS「シリーズ2」のレギュラーカードが一気に価格を上げた。「シリーズ2」には直筆サインカードも封入されている。
ロベルトの活躍とそのカードの値上がりについては、ある程度の予想が出来ていたものの、突然の出番で株を上げたルーキーもいる。ダスティン・メイ投手(ドジャース)は24日のジャイアンツとの開幕戦で急遽、先発マウンドへ。エースのクレイトン・カーショー投手が腰痛で登板を回避したため、チームの新人投手ではフェルナンド・バレンズエラ投手以来、39年振り2人目の開幕投手を務める事となった。
16年のドラフト3巡目(全体101位)でドジャースに入団した右腕は昨季、メジャーデビューを果たし初勝利もあげた。最大の武器である99マイル(157キロ)の高速シンカーで、開幕戦は5回途中まで1失点。勝利投手こそ逃したが、チームの開幕戦白星に貢献した。
アフロヘアの風貌も印象的で「カード映え」する選手でもある。新人王の最有力候補と期待されていた同じドジャースのガルビン・ラックス内野手が開幕ロースターから外れてしまったこともあり、球団の期待度も高い。TOPPS社も多くの直筆サインカードを各ブランドに封入。ロベルトほどは価格の上がり方が激しくないため、今のうちにルーキーカードを抑えておきたいところだろう。
「ステイ・ホーム」もあり、トレーディングカードの世界でも過去のルーキーカードの価値が見直される「新しい生活様式」が風潮になった。ロベルトがアメリカン・リーグ、メイがナショナル・リーグの新人王獲得まで突っ走るか、他のルーキーが巻き返すか、今年もMLBとMLBのトレカは面白い。
cove【ライター】
国内外のベースボールカードやコレクションアイテムを収集し続けて30年。元スポーツ紙ライター。